日本は「災害大国」と言われ続け、国を挙げて対策を講じていますが、意識調査では、災害に不安を感じる人は7割を超える一方で、備えができている人はわずか2割台にとどまっています。
あなたも「きっと大丈夫」「まだ逃げなくてもいい」と思ったことはありませんか?
実は、その心理こそが、災害時に私たちの命を奪う最大の敵、**「正常性バイアス」**です。「ソナエール。」が目指す「災害による犠牲者ゼロ」のために、まずこの心の壁を打ち破りましょう。
誰もが持っている「心の防衛本能」の正体
正常性バイアス(Normalcy Bias)とは?
正常性バイアスとは、「異常事態に直面しても、それを日常の延長線上で捉えようとし、『たいしたことはない』『きっと大丈夫だろう』と危険を過小評価する」という、誰もが持っている心理的な働きのことです。
私たちは日々、無数の情報に接していますが、その全てに不安を感じていては、日常生活を送ることができません。正常性バイアスは、私たちの心が必要以上の不安やストレスを感じないようにするための、いわば**「心の防衛本能」**として機能しています。
しかし、この心の安定機能が、地震や津波、大規模な火災といった緊急事態においては、避難行動の遅れに直結し、命取りとなってしまうのです。
正常性バイアスが命を奪った瞬間
1. 「皆が動かないから、私も大丈夫」という同調圧力
正常性バイアスと並んで、日本で特に強く働くのが**「同調性バイアス」**です。
災害時に、周囲の人が落ち着いていると、「みんなが逃げていないから、危険ではないのだろう」と考えてしまい、避難行動が遅れます。これは、集団の中で「周りの様子を窺う」という国民性が、緊急時には危険な心理として作用してしまう瞬間です。
2. 「過去の経験」が未来を否定する
東日本大震災では、「過去の津波でも、ここまで水は来なかったから大丈夫だろう」「避難指示が出たけど、空振りかもしれない」といった思い込みから、避難が遅れ、多くの命が失われた事例が多数報告されています。
これは、自分の経験や知識を過信し、**「自分の身には起こらない」**と無意識に結論づけてしまう正常性バイアスの典型的な発動例です。
「釜石の奇跡」に学ぶ!バイアスを打ち破る2つの行動原則
正常性バイアスは本能的な心理ですが、訓練と意識で打ち破ることができます。その模範が、東日本大震災で津波を最大10m観測した地域にも関わらず、小中学生の全員避難が成功した**「釜石の奇跡」**です。
原則1:迷ったら「まず逃げる」と決めておく(率先避難者意識)
正常性バイアスを打ち破る最も効果的な方法は、**「判断を挟む余地をなくす」**ことです。
- 避難スイッチ: 強い揺れを感じた、避難警報を聞いた、など、特定のトリガーをあらかじめ設定し、その瞬間には**「考えるより先に動く」**と決めておきましょう。
- 率先避難者(トップランナー)になる: 「皆が避難していないから大丈夫」ではなく、「誰も逃げていないなら自分が最初に逃げる」という意識を持つこと。あなたの行動が周囲の人の同調性バイアスを崩し、多くの命を救うきっかけになります。
原則2:訓練で「異常な状況」を体感し、行動を身体に覚えさせる
釜石の奇跡の成功要因は、日頃から徹底されていた避難訓練でした。訓練を「面倒」と捉えるのではなく、「命を守るためのシミュレーション」と捉え直しましょう。
- 家族全員で訓練: 実際に避難所まで歩いてみて、本当に危険な場所(崩れやすいブロック塀、電柱など)を確認しましょう。
- 「空振り」も訓練: 避難警報の「空振り」に慣れてしまうことが正常性バイアスを強めます。空振りの時こそ、「もし本当に来ていたら」と考えてみる訓練の機会にしましょう。
心理の壁を越えたら、次は「家の壁」の強化です
正常性バイアスを克服し、**「まずは逃げる」**という意識を高めることが、災害の初期行動における最初の防衛線です。
しかし、次に重要なのは、能登半島地震の教訓でも痛感した**「自宅の物理的なリスク」**をゼロにすることです。
- 家具の固定はできているか?
- 築年数や構造に合った最適な対策か?
- 家族構成(高齢者、子ども)にとっての最適な避難経路か?
「皆と同じ対策」では防げない、あなたの家固有のリスクがあります。



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